平成22年4月23日
金子昇さん
ザ・ビートルズの幻の貴重盤盗難事件をめぐる14人の人間模様を描いた映画「苦い蜜~消えたレコード」が5月8日から名演小劇場(5月21日までの限定ロードショー)で公開されます。映画には、池上季実子、田中健、中西良太、高橋ひとみ、島田順司、犬塚弘、森本タローらベテランに加え、探偵役として金子昇さんが登場、緊張がゆるむことのない高度な密室劇が作り上げられました。金子昇さんに映画について伺いました。
【プロフィル】
1974年、長崎県出身。「百獣戦隊ガオレンジャー」(01)で主演を務め、注目を浴びる。最近ではテレビや映画のほか、「LOVE LETTERS」「大奥」「三丁目の夕日」などの舞台でも活躍中。
僕が大好きなビートルズが題材の映画だということでプロットを読む前からやりたいと返事をしました。事件は1年前に起きたザ・ビートルズのレコード盗難事件。舞台は、ビートルズ・バー「リボルバー」。オーナーが集めたLP14枚のコレクションがオープニングのメインイベントとして飾られる予定でしたが、そのなかから最も貴重盤とされるレコードが消えていました。犯人らしき人物は現行犯で捕まり、オーナーはショックで倒れて2カ月後に死亡。1年後、小説で新人賞候補となった「リボルバー」のマスターのために、常連客が集まったところへ僕が探偵役として乗り込んでいきます。
探偵役でのオファーだったので、横溝正史の推理小説に登場する金田一耕助や刑事コロンボなど勝手なイメージを持っていたけれど、台本を読んだら全然関係なかった(笑)。ある程度の情報を調べておいて、みなさんの話を聞き、定かでなかった情報を確かにしていくという探偵ではなく、監督からは、「探偵として事件の情報はまったく持たず、その場で現行犯として捕まった友人の汚名をはらすのが目的です」と指示をされました。容疑者は13人で探偵は1人。リアルな現場に乗り込んで話をしてもらおう、と思っても話をしてくれないのではないか。探偵役だけれど映画の案内人、司会・進行役に徹し、当たりが優しくて、腰の低いキャラクターにしようと思いました。
東京で出演者の方たちと顔合わせをし、仙台でロケ。亀田幸則監督からは細かい演出はなく、すぐ本番。役者同士が自分たちでリハーサルをして台詞のやりとりをしました。監督がこだわったのは、「演劇のようにワンテイクで、俳優の持ち味を最大限に生かす」手法。長回しで15分。せりふの量はいっぱいあるけれど、気持が繋がった演技になりました。僕なんか緊張のしっぱなしでしでゼイゼイ言っているのに、ベテランの役者さんたちは集中力の持っていき方、力を入れたり、抜いたりするところがお上手だったし、しびれる様な演技をするので、勉強になりましたね。
森本タローさんは、人柄も役柄も穏やかな方でしたが、ある時「なんやお前!」と怒るシーンがあるんですよ。テストの時にドンピシャで表現され、みんなが「タローちゃん、いいよ!」と声をかけて、「よし、本番!」と言ったときに、モロにかんで「お前!」しか言わない。大爆笑でした(笑)。タローさん以外のザ・タイガースのメンバーはビートルズが来日したときにコンサートライブを見に行ったけれど、彼はお金がなかったから見に行けなかったという話や田中健さんはおしゃべり好きで楽しいし、高橋ひとみさんも天然キャラ元祖じゃないかと思われるほど場をなごませてくれました。
僕も探偵だから白黒ハッキリつけて、「犯人はお前だ!」と言いたかったけれど、友人の疑いが晴らせればいいというスタンス。この作品は、同じものを14人で見た時に、その人の立場や人生観でこういうふうに見えてきたとか、14人の真実の顔が浮き彫りになるよう作られています。パラソルチョコレートのエピソードがキーポイントになっている、ミステリー仕立ての人間ドラマをお楽しみください。








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