新春恒例座談会
「神田真秋愛知県知事を囲んで」
日本中で不況風が吹き荒れるときでさえ“元気”と評されてきた愛知。今年も底沼的な不況は続きそうですが、愛知には国際会議「COP10」と、文化芸術の祭典「あいちトリエンナーレ2010」というビッグイベントがふたつ。県に明るさや活気が感じられます。また工業県といわれながら、自然と共存する農林水産業も健在。子ども医療制度も充実し、暮らしやすさには定評があります。そこで今年も新春恒例の座談会「神田真秋愛知県知事を囲んで」を開催。国際会議、農業、医療など、さまざまなテーマで本紙読者と語り合っていただきました。
出席者
神田 真秋愛知県知事
吉川 桃子さん
(名古屋・長者町繊維街在住)
川原 史子さん
(NPO法人ママ・ぷらす代表)
稲葉 きみ子さん
(工房いなばっち主宰)
司会 奥様ジャーナル代表取締役社長 若井芳己
●COP10&トリエンナーレ
吉川 今年は愛知県で大きなイベントが2つありますね。ひとつが「生物多様性条約第10回締約結国会議」。これはどのような会議ですか。
知事 この地球上には3000万種ともいわれる多様な生き物が存在し、私たち人間もそのつながりの中で生きています。ところが今、多くの多様な生き物のつながりがが絶滅に危機にさらされ、私たちの生活を脅かす重大な問題になってきています。そこでこうした問題について世界中で考え取り組もうというのが、国連主催の「生物多様性条約第10回締約結国会議」、いわゆるCOP10です。今年10月に名古屋市の名古屋国際会議場で開催されますが、ここでは生き物の命を守ることだけでなく、人間活動と自然がどう折り合いをつけ、どう共存共栄していくか。そんなことも話し合っていきます。
吉川 会議を成功させるためには県民の協力も必要でしょうね。
知事 もちろんそうです。まず県民の皆様に関心と理解を深めていただきたいということで、昨年からキャラバンセミナーや数々の行事を開催してきました。今年も引き続き多彩な行事を予定しています。また開催期間中は会場のある白鳥、愛・地球博記念公園、栄の3地区に会場を開設し、そこに県民・市民、NGO、企業などさまざまな方たちが、それぞれの取り組みを発表・交流する場を設けます。愛、地球博のときのように県民みんなで力を合わせてCOP10を成功させ、人と地球が共生できる地域づくりにつなげていきたいと思っています。
吉川 子どもたちには豊かな自然を残したいですものね。
知事 将来にわたって自然を守るには、子どもたち若い世代が関心を持つことも大切です。COP10開催に合わせて「国際子ども環境会議」や「生物多様性国際ユース会議」など、世界の子どもや青年たちが集う会議を開いて、子どもたちそこでの意見をCOP10に提案することも考えています。いずれにしても県民の皆様にはご家族で自然とふれあい、環境美化や省エネ、リサイクルなど身近でできることから取り組んでいただけるといいですね。
吉川 もうひとつのビッグイベントが「あいちトリエンナーレ2010」。愛知県で開催しようと思われたきっかけは何ですか?
知事 ひとつは5年前の博覧会です。博覧会は環境をテーマに大成功を収めましたが、一方で文化芸術面では少し物足りなかったという指摘がありました。それで博覧会終了後に、これからもこの地域がより魅力的で、世界に発信する力を待つには何が必要か検討したところ、やはり文化芸術であろうと考えたわけです。その第一歩がトリエンナーレです。
吉川 私は名古屋の長者町に住んでいますが、今回、プレイベントが長者町という街を舞台にして行われたのが嬉しかったですね。
知事 今回はテーマが「都市の祝祭」ということもあり、街ゆく人々や街の歴史とふれあうことが重要だと考えたのです。建物の中ですと、そこに行った人しか接することができませんが、街中ですと偶然行き合わせた人も楽しむことができます。これは大きな魅力ではないでしょうか。
吉川 本番は8月からですね。
知事 北京オリンピックでオープニング花火を担当した蔡國強さんや昨年の文化功労者・草間彌生さんをはじめ、世界の第一線で活躍するアーティスト約70組が結集。本番でも美術館や劇場だけでなく、街の中でも作品展示や公演を行います。ご覧になった方がワクワク、ドキドキするような、祝祭感にあふれた現代アートの祭典にしますから、どうぞご期待ください。
●育児支援
川原 私が所属する「ママ・ぷらす」という団体は、育児環境を整えることで女性の就労支援をしたいと考えています。愛知県ではトワイライトスクールや病児保育への取り組み、医療費の無料化など、自治体によってバラツキがありますが、実施基準の統一などはお考えでしょうか。
知事 トワイライトスクールは、放課後等に学校施設を利用して、子どもたちの異学年交流や地域の世代間交流を図る名古屋市が実施する、の事業です。県としては国の補助事業である「放課後子ども教室推進事業」の別称です。を実施しています。こちら「放課後子ども教室推進事業」は、放課後や週末に学校の余裕教室を利用して、地域の方たちの協力を得ながら、子どもたちに学習やスポーツの機会を提供するものです。あり、現在、名古屋市を含め、県内42市町村で実施しています。具体的な取組内容については、それぞれの市町村にお任せしていますが、新たにこの事業を実施する市町村には各種情報を提供しするなど、よりよい事業となるよう支援しています。
川原 病児保育についてはいかがですか。
知事 病児・病後児保育は名古屋市や中核市を除いて19市町19ヵ所の施設で実施されていますが、県内全域での実施とはなっておりません。それで今年度から「子育て支援対策基金(安心子こども基金)」を活用して、病児・病後児を預かるスタッフを養成するための講習会等を開催。身近な地域でサービスが受けられるよう事業の充実に努めていきます。
川原 子ども医療費については、愛知県は恵まれていますよね。
知事 子ども医療費の無料化については、県と市町村の共同事業として実施しています。平成20年度から通院は小学校就学前まで、入院は中学校卒業までと、大幅な拡大を図ったところです。この結果、愛知の子ども医療費制度は所得制限や自己負担もないことから、全国トップクラスの水準となっています。
●女性農業者
稲葉 私はみかん農家を営みながら、農産物の加工販売もしていますが、最近は地産地消活動を筆頭に、女性農業者の活躍が目立つように思います。県はこうした活動や女性農業者にどんな支援をお考えですか。
知事 地産地消のきっかけは、昭和6360年に豊川市の女性農業者たちが始めた百円市だそうです。それが評判を呼び、店舗を構えるまでに発展してきました。今では県内に280もの産地直売施設があります。また農産物の加工や販売、朝市の開設、農村レストランの経営など、起業する女性農業者も多く、その躍進ぶりは目覚しいものがあります。県としても起業を目指す方々には法制度やマーケティングに関するセミナーを実施、すでに起業されている方には研修会や経営管理などのコンサルティングを行うなど、さまざまな支援を行っています。またこうした女性農業者の取り組みを多くの方に知っていただくためにPRパンフレットも作成しています。
稲葉 知事さんは女性農業者にどのようなことを期待されていますか。
知事 最近、食料自給率を向上させるために米粉の利用が注目されていますでしょう。これも女性農業者の皆さんの取り組みによって、地元の米粉を使ったシフォンケーキやカステラなど新しい商品の開発が進んでいるのですね。今後もこうした女性ならではの視点から消費者ニーズに応える商品開発を期待しています。また県ではこうした頑張っている女性農業者を「農村生活アドバイザー」と認定し、食と農の大切さを地域の方々に伝える役割も果たしていただいています。今後も地域活性化に向けたリーダーシップの発揮をお願いしたいと思っています。
稲葉 最近では地産地消もずいぶん浸透してきましたが、県のバックアップはいかがですか。
知事 県では平成10年から「いいともあいち運動」を推進しています。これは「もっと愛知県産品を食べよう、利用しよう」ということと、県内の消費者と生産者が今まで以上に“いい友”になることを目指しています。そしてこの運動の柱となるのが生産者団体、スーパー、飲食店、消費者団体などで構成するネットワーク会員ですが、現在会員数が約700まで増え、着実に成果を上げています。最近では“いいともあいち”のシンボルマークを県産の農林水産物を使った商品に貼ってPRしていただいたり、社員食堂で地産地消メニューを提供していただいたり、新商品を開発したりと、ますます運動の輪が広がっています。
一同 私たちも県産商品を大いに利用したいと思っています。本日はお忙しい中ありがとうございました。

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