物語の設定は、「国家繁栄維持法」が施行され、政府が18歳から24歳の1,000人に1人の若者に“イキガミ(逝紙)”を届け、受け取った者は24時間後に必ず死亡する、という非現実的な内容です。だからこそ、瀧本智行監督はディテールを積み重ねてリアルで生々しいものにしたいと取り組まれたようです。
藤本という役は、国家に対するストレスや不安な気持を持っている公務員。それは僕が日本で暮らしていて共感できるところもあるので、自分の生活と重ねてキャラクターづくりをしました。国民の行動は常に国にカメラで監視され、監視カメラは管理社会の象徴的なものだということで、カメラに対して徐々に怒りを見せていきました。彼の抱えている悩みや心の葛藤が表現しにくい役なので、たとえばテレビで何か食べて「おいしい」と言っていても、本当はおいしくないんじゃないかと思って、気持の摩擦を作るようにしました。
僕自身は藤本の役を抱えながら2カ月くらい重苦しい気分でいたので、苦しかった。上司役の笹野高史さんはストイックな厳しい表情が多いのに、黄色のスポーツカーに乗ってさっそうと帰っていくギャップにも驚きました(笑い)。
ストーリーの前半はミュージシャンにイキガミが届けられ、国家や自由と大きなものを扱い、中間は息子にイキガミが来たことを選挙に利用しようとする女性議員、後半は成海璃子さん演じる兄想いの盲目の少女と山田孝之さん演じるチンピラの兄との兄弟愛と3つの話がバランスのとれた流れになっています。
ミュージシャンが歌う「道しるべ」という曲は監督が自分のことを歌っているのかを思ったくらい、力のある曲で、金井勇太さんが歌うときは1つのクライマックスです。
映画は極限状態におかれた人々が織り成す生と死がテーマ。僕は、親父がいないこともあるし、今年も身近な人が2人ほど亡くなっているので、このテーマは感慨深かった。僕自身は振り返ってみて、何か自分なりに俺の人生よかったな、と思える人生にしたい。休んだり、リラックスすることが楽しみだったら、自分の人生を生きたと思えない。短くても長くてもいい、突っ走った人生にしたい。誰にでも可能性があってやる気になれば、絶対にできると思っています。たとえば僕はまったく英語をしゃべれなかったけれど、本気でやろうと思って取り組んだら2年でできました。もし悩みがあったとしてもクヨクヨと悩むのではなく、自分らしさを提示する勇気を持ち、どういう風に楽しむかを考えますね。
この作品に関われて、素晴らしい経験ができました。ぜひ、映画をご覧になってください。
【TOPページへ戻る】 |