原作は一気に読ませていただきました。大笑いしながら、泣きながら読んで、ただ感動していたところに、がばいばあちゃん役のお話が来て、一瞬「うれしい」と思った後に「エピソード、エピソードで舞台をどう繋げるんだろう」と思っていたんですよ。そこに脚本は池田正之さんと伺い、「あ、だいじょうぶだ」(笑い)と。役者なんてそんなものです。
池田さんは中日劇場という大劇場は、写実で作っていかないといけないし、原作の素晴らしさを生かして、どこをどうピックアップして、おばあちゃんと昭広少年の面白さを出していくか悩まれたそうですが、先日脚本をいただいたら、とても素晴らしく、みなさんに喜んでいただけるものになっています。
脚本のなかに生きた台詞がたくさんあって、いろんな人物が浮き上がって目の前に動き始めるくらい一人ずつが成り立っています。そのほかにもあの時代になつかしさ、におい、色が感じられ、子どもたちの声や鼻がたれている様子など具体的に立ち上がってくるようです。
実際に佐賀にロケハンに行ったのですが、町の雰囲気が中国のようで、土地のエネルギーを感じました。おばあちゃんたちに手作りの草もちを頂いて、みなさんの笑顔や子どもたちの目が健康的なのが印象的でした。
子役のオーディションには、北海道から九州まで300人ぐらい集まったとかで、優秀で楽しみな子どもたちのようです。
方言は、役者にとって精神的にも肉体的にも頭の中も体も縛り付けてくるものがあります。ただ佐賀弁は、聞いていると温かいし、力強くてとても好きです。がばいばあちゃんの知恵は教えられるものではなく、自分の中から出てくるもの。心の温かさとおおらかさ、それを知恵で包んだ佐賀弁のなかに、私なりのおばあちゃんがどう出てくるか。私は、じっくりと脚本を読んでいるといろんな人たちが立ち上がってくるタイプですが、自分の役が立ち上がるのは、いつも最後。ちょうど立けいこが始まるくらいですね。初日までに必ずおばあちゃんを引き寄せ、肉体を通してがばいおばあちゃんになれることを願っています。
島田洋七さんは、「ばあちゃんは芝居が大好きだったから、生きていたら本当に喜ぶんじゃないか」とおっしゃいましたから、がんばってやらないと。
名古屋の夏は暑いけれど、汗と目から出る涙のしょっぱさが快い帰り道になることを念じています。ぜひ、お出かけください。
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